全員失格です

パット

2014年01月20日 10:34

座禅生活176日目。


ある時、四人の僧が一本のローソクをまん中に置いて、無言の行を始めました。

無言の行とは、その最中は、口から声を出してはならない、つまり話してはいけない…という行です。


やがて、一日が過ぎて夜になりました。

夜風が吹き、戸がカタカタ揺れます。

しかし、気を散らさずに黙っています。

そのうち すきま風でロウソクの炎が揺らぎます。

心も少し揺らぎます。

ですが、口を開いてはなりません。

ところが、強めの風が吹いたとたん、ローソクが消えてしまったのです!



「あっ、火が消えた!」
思わず、一人の僧が言ってしまいました。


すると、もう一人の僧が、
「こら、今は しゃべってはいけないのだぞ」と注意しました。


そして、別の僧が、「『しゃべるな』 といいながら、そう言うお前がしゃべっているではないか!」と、やはり、しゃべってしまいました。



これで、三人とも無言の行は失格です。



そこで、ずっと黙っていた最後の一人が、「結局、しゃべらなかったのは、私だけだ」と言いました。



つまり、全員失格です。





これは、鎌倉時代の『沙石集』にある説話からの引用です。


こんなふうに、私たち人間は他人のことはよくわかるが、自分自身のことはなかなかわからないものです。


自分のことを知らないがゆえに、本当の意味で自分を大事にできないし、簡単に他人を傷つけたりしてしまいます。



時に立ち止まって自らを見つめることが必要です。

自らを見つめて、本当の自分を発見したら、新しい人生のスタートです

その時初めて、ありのままで人生を楽しむことができます。


今日も瞬間を楽しんで、生きて行きましょう。


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