叔母は姉に連れられて天国に行きました
座禅生活151日目。
10年ほど前の話ですが、私には叔母がいました。
父の姉に当たる人です
彼女は当時重い病気で、あと3ヶ月もつかどうかという状態でした。
普段親しく接している人ではなかったのですが、何となく父に連れられて病院にお見舞いに行きました。
叔母の病状はよくありませんでした。
ずっと寝たきりで会話もできない。
父はそんな状態でも「ほら、しっかりせんね」とか「今日は顔色がいいね」とか叔母にやさしく声を掛けながら、彼女の身の回りの世話をしていました。
ある日のこと。
父と一緒に病院へ行きました。
病室に入ると叔母が寝てたので、父は「トイレに行ってくる」と言って病室から出ました。
病室には叔母と私の2人きり。
ところが父が出て行ってすぐ、叔母が「ウーン」とうなり始めました。
私が「どうしたの?」といっても、「ウーンウーン」といってもがき、動こうとする。
「どうしたの?きついの?」と言って背中をさすったりしても落ち着かず、何かを訴えている様子。
目の前にすいのみ(水)があったので、とっさに「喉が渇いたの?」と叔母の口にそれを含ませました。
するとそのとき、叔母はじーっと私の顔を見つめました。
しばらく私の顔を見つめた後目線をはずし、少し水を飲みました。
父が戻ってくると、叔母は「ウー」とすがるように父に身体を向けて何かを訴えかけました。
そして
「姉が来た」
「姉が迎えに来た」
と小さな声で言いました。
実は叔母には姉がいて、数年前にガンで亡くなっていました。
叔母と姉は両親がおらず、小さいときからお互いを支え合って生きてきて、すごく仲が良かったそうです。
父は最初は「何言ってんの。姉はここにはいないよ」と言っていましたが、あまりに叔母が何度も言うので「ああ、あんたにがんばれって言いにきたんだよ」と言っていました。
その次の日、叔母は亡くなりました。
状況を考えると、「姉が迎えに来た」というのは本当だったんだと思います。
叔母は迎えに来たお姉さんと手をつないで、天国に旅立ったんだと思っています。
じっと私を見た叔母の顔が今でも忘れられません。
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